佐久間象川

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help リーダーに追加 RSS 性悪論者の弁(6)

<<   作成日時 : 2008/04/01 14:08   >>

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毎日新聞に2008/3/21から3/30までの連載で、「正義のかたち」、という題の、裁判官の告白を紹介しながら、裁判に於ける量刑の公正さ、妥当さを考える記事があった。  “裁判員制度”の発足を一年後にして、“人を裁く”意味を考える、という趣旨の欄である。

最初の3回ほどには、死刑の判決に絡む問題を考える、深刻な記事があった。
私のように、戦争中の理不尽な社会や、現実の世界の裏面でマスコミに報道されない事実、関係者以外には伏せられた事実を、数多く見てきた老人は、
この様な深刻な問題を、この記事を書いたグループ程度の若造がしたり顔でまとめているのを見ると、正直の所、うんざりする。

例えば、私の前回の記事:
   東北大学の研究費不正使用
程度のことだって、この記者たちは、知らないであろう。

新聞連載の最終回の記事の、締め括りのところに在る文章が、いわばこのグループの限界を正直に表現している。
このグループが好意を持っていると思われる、ある元裁判官の

「裁判はね、はっきり言えば、被告のため ・」、

 との言葉が全て、
である。

★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★

社会部「裁判員取材班」というグループの作った記事だから、恐らくは社会部とはいっても、大學で法律でも勉強してきた記者が多いのであろう。
判事や弁護士は、犯罪者や被告との付き合いが全てだから、この様な感覚になる。

現実社会には、家族が犯罪の被害を受けたために生活困窮したり、直接の被害でなくても不当な苦しみを受ける生活者も居る。 
例えば悪徳官僚が居た為に、職業的に不利な立場におかれたり、ワーキングプアーとなる人も居る。
そうしてみると、健全な人達を守る社会は、その様な不当な被害を予防する仕組み、が必要である。
そのための一つの方法が悪人に対する刑罰だと思う。

刑罰とは、犯罪者の厚生が全てではなくて、
善良な人達が不当な被害を蒙らない社会を作るのが、
大きな目的の一つだと思う。


その様な仕組みを持てない日本社会の不幸の一例が、キャズ君の
   耐震強度偽装問題(続)
のような出来事である。

今回の毎日新聞の連載の第6回に、松戸事件で一審の判決が覆り高裁で無罪放免された被告が、5年後に別の女性殺人事件を起こして、今度は無期懲役になる話がある。
その被告を高裁で裁いて無罪とした荒木友雄裁判官が、次の事件の時に、マスコミから、松戸事件も本当に無実だったのか、とか、無罪判決がなければ新たな犯罪を防げた、などと叩かれた話がある。

現在は流通経済大の教授に納まっている荒木裁判官は、「複雑な思い」程度の感想であって、本当に突き詰めた反省は私には感じたれない。

松戸事件が本当に被告の犯行であったかどうか、難しい点もあったとは思う。
 しかし被告のそれまでの素行に、それを疑われることがあったのと、若しも一審の判決が高裁で覆されなかったならば、第二の被害者が出なかったことは間違いのないことである。
社会防衛という点からすれば、高裁がなければ社会は安全であった。 
荒木氏には、この反省が全くない。

★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★

私等技術者・理系人間は、其処まで考える。
法科の人間は条文の適用以上には思いを致さない。
疑わしきは何とやらと、気楽に言うのが現代日本の人権屋である。

しかし、人類の知恵は決してそうではない。
イソップ物語に、毎度「狼が来た」と嘘をついて、村人の信用を失っていた子供が、本当に狼が来たときに人々の助けを得らなくて狼に食われてしまう話がある。
この童話を語り継ぐ事により、人は平素の行いで信用を得る事が大切だ、と教えられてきたし、
それに依って社会は、上記の、、▲耐震強度偽装問題(続)、のような事故を防止することが出来るのである。

その様な論理的感性が、近代科学を産んできた。


科学は日本では生まれなかった。
その伝統的な人類の知恵を、日本の法律屋どもは壊している。
よしんば、ウソツキ常習の子供が狼に食われる事があっても、善意の人に間違いの起こらない社会を作っていこう、

という考えは決して間違っていないと私は思う。
「裁判は、被告の為にある」、のではない

 ★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★

この様な問題に付いて、今までに書いた記事を以下に示す:

性悪説論者の弁(1):[B-24] [2005/12/29]
性悪説論者の弁(2):[B-25]
性悪説論者の弁(3):[B-26]
性悪説論者の弁(4):[B-51]
性悪説論者の弁(5) :[B-56]
守屋前次官よりも悪い佐藤前法相:[B-69]

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