佐久間象川

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<<   作成日時 : 2009/01/26 08:22   >>

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  ▲ :[B-88]:(2008/12/25)日米開戦67年目のクリスマスに思う
に、Y君の祖母と有栖川宮の話がある。 

有栖川宮と人間的接触の有った祖母、と過ごした日を覚えているY君は、テレビドラマ「篤姫」を見ていて、「篤姫」、「皇女和宮」、「有栖川宮」が同時代の人であることを思うと、歴史的時間の感覚が奇妙に感じられて仕方なかった、という話である。
子供の頃には大昔の話と思っていた日露戦争が、祖母と有栖川宮の一件よりも大分後のことなのだから、妙なものである。

さて、今年の正月になってからだが、Y君の叔母、Tさんがが101歳で亡くなった。
前回記事に書いた、『幼女』、つまりY君の祖母は、結婚すると、トシゴ、つまり全部一歳違いの、5人の娘を産んだ。
その5人姉妹は、今回亡くなったTさんを最期に、全員亡くなった。

★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★ 

この時代の人々は全て大変な人生を経験している。
その例に漏れず、この亡くなったTさんも、昭和前半に結婚して北朝鮮に渡り、苦労して事業に大成功を収めたが、太平洋戦争の敗戦でその全てを失った。 
昭和60年1月8日に85歳で亡くなった夫との人生は、彼女の著書、
   「海峡をわたった林檎」{1990年8月15日出版、銀河書房}、
に書かれている。

この本には、彼女の家業以外にも、感銘深い話が幾つも載っている。 例えば:
太平洋戦争最後の沖縄戦で牛島司令官とともに自刃して果てた長勇参謀長は、昭和初頭の十月革命事件や張鼓峰事件で知られる歴史上の著名人だが、Tさん夫妻とこの人との交流の話、長大佐が沖縄に向かう前に別れの挨拶に見えたこと、・・・などもあり、他にも興味深い話が幾つもある。

ソ連軍の来襲、朝鮮人の日本人への襲撃等の日本敗戦後の混乱の中で、
現地の朝鮮の人々が、「あなた方は我々が守って上げる」、と言って、いろいろと援助してくれた話を読むと、Tさんたちの家族の人柄に感動するとともに、
現在の北朝鮮の世相の中で、この本に書かれている朝鮮の人々がその後どの様な生活をしているのかが気になる。

Tさんは、終戦後の混乱の中を、それまでの人生の蓄えの総てを朝鮮に捨てて、昭和20年12月6日、故郷に帰る。その話も本に書かれている。  が、
本の話の中で、私の最も心痛むのは、昭和18年4月生まれの娘のことである。
 郷里へ帰着した一週間後に、逃避行の無理が祟って、2歳の娘が亡くなる。

本には書いてないが、Y君の話によると、日本に帰国後には、
戦前に朝鮮でTさん夫妻に大変に世話になり恩恵を受けた人物の、全く人間とも思われない非道な仕打ちを受けて、
Tさん一家は、悲惨な生活をしたそうだ。

 日本の敗戦後に庇ってくれた朝鮮の人達と較べて、日本人は劣悪な人種なのだろうか


★ ★  ★ ★  ★ ★ ★ ★ 

処で、話は戻るが、Y君の母親が長女であり、初孫のY君が小学生になるまでは二女以下の姉妹(Y君にとっては叔母)は全て結婚していなかったから、Y君はその5人姉妹の齢の離れた弟のような家庭雰囲気であった。
Y君がT叔母に世話になった思い出で、最も忘れ難いのは、
   エルマンのバイオリン・コンサート
を聴きに、連れて行って貰ったことだという。

20世紀前半の世界最高の、伝説的バイオリニストのエルマンが、昭和初頭に日本に来て演奏会を開いた時の音楽ファンの感動は、現在の人には理解できないだろう。
 世界中の往来が容易になった、現在の人には!!!。

そのエルマンの演奏会に、Tさんは3歳のY君を、連れて行った。
独身女性が当時の汽車で長野から東京に一人で行くのも大変なのに、3歳の甥を連れて行ったのだ

現在の日本でエルマンの生演奏を聴いた人間は、私以外には殆ど居ないだろうと、80歳を越しているY君は自慢する。 しかし

自慢はするけれど、Y君は演奏会のことは全く記憶していない。
演奏会の前夜に旅館の隣の映画館で、「桃太郎の鬼退治」という映画を見たことは克明に覚えている。
 桃太郎が飛行機で犬、猿、雉と共に鬼が島に向かうのだが、出発する時に、猿がプロペラに手を掛けて回して始動し、桃太郎が飛行機の運転席でアクセルを踏んでエンジンを加速する場面も克明に記憶している
   が、これは自慢にならない、と私は思う。

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内 容 ニックネーム/日時
人の一生には大なり小なり波乱があるのは当然ながら、Tさんの話を聞くと世の中にはこんな人もいたのだなあと感心する。明治女の気丈さと優しさと才気を兼ね備えていたのだろう。
しかし人はその人の表面的なことしか知らないことが多い。その知られざる一面を知らしてやるのも残されたものの役割であろうと思う。しかし世の中には人の話に耳を貸さないか、人の話を聞こうともしないものがなんと多いことか。そんな連中を目の前にするとまじめに個人の遺徳を偲ぼうとする真摯な人にとっては耐えられない怒りを覚えることがある。
聞いていない連中にとっては理解できないか、理解しようとしないことかも知れないが。
Alps
2009/01/28 21:19

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