佐久間象川

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zoom RSS 呆れた高裁判決

<<   作成日時 : 2009/11/30 17:18   >>

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1999/9に、JR線車内で女性に痴漢行為を働いたという虚偽申告をされた沖田光男氏が、賠償を求めた裁判の控訴審判決が、2009/11/26に東京高裁(大橋寛明裁判長)で出た。 事件から10年後である
女性が車内で携帯電話で話しているのを、沖田光男氏が注意したところ、女性に逆恨みで虚偽申告された

、というのが、沖田氏の言い分である。

事件当初に沖田氏は現行犯逮捕され、かなり長期間留置されたが否認を続けて、嫌疑不十分で不起訴となった。
不当な留置、近隣や勤務先での信用失墜、などに付いて、
沖田氏は女性に1135万円の賠償を求めて訴訟していたのだ。

この種の事案は、双方の言い分が対立して、真相を探るのが難しいのは事実である。
私自身も、全く何もしていないのに、車内で非難を含む目つきで女性に睨まれ、騒ぎだしそうな様子に、どうしてよいのか分からずに、困った経験がある。
逆に、現実に痴漢行為を働いていた男が女性に騒ぎ立てられた場合も、素直に認めるとは思えない。  恐らく、自分は何もしていないと強弁するであろうし、場合によっては女性を提訴することだって、ありうる。

従って、無関係な第三者が当事者双方の話を聞いただけでは、真実は分からない。
しかし、法廷での裁判官は、「真実は分からない」、と言うのでなく、可能な限りの方法を尽くして審理を尽くすことを期待されている。

 ★ ★ ★ ★ ★ 

沖田氏の提訴は、1,2審は沖田氏が敗訴をした。
が、事件発生から9年も経っての、2008/11の最高裁で、
   「2審は女性の通話相手の男性の証人尋問をしておらず、
     審理を尽くしていない

として、1,2審判決を破棄し、審理を差し戻した。

差し戻し控訴審では男性の証人尋問が行われ、「痴漢を受けていた印象はない」との趣旨の証言があった。
高裁は、「通話相手の証言と整合しない女性の供述に、疑問が生じる」、と述べて、
「痴漢行為があったと認めるのは困難」、と判断し、1,2審判決を覆した。

それにも拘らず、「女性の主張が一貫していること」(!!!)などから、「故意に虚偽通報したと認めるには証拠不十分」、と判断し、
結局、沖田氏の請求は棄却した。

沖田氏が「あいまいな判決には全く納得できない」と上告するのは当然である。

 ★ ★ ★ ★ ★ 

先に述べたように、無関係な第三者が当事者双方の言い分を聞いても、話だけでは、真実は分からない。
しかし、法廷に持ち込まれた時に、裁判官が、「真実は分からない」、と言うのは許されない。
可能な限りの方法を尽くして審理を尽くさなければならない。
先に最高裁で破棄された1,2審判決のように、状況証拠を発掘するために容易に考えられる参考人物の証人尋問もしないで、上級審から「審理を尽くしていない」と評価される判決を出すような人物は、
本来、裁判官には不適当、なのである。
これらの裁判官は職務を尽くしていないのだから、職務怠慢であり、給料泥棒であり、こうした裁判官は資格をはく奪するのが、社会のために必要なことである。

しかも、こんないい加減な判決を出すのに10年もの時間が掛かっているのも、冤罪に苦しむ被告にとっては大変な苦痛であり、
私が江戸時代の大岡越前守であれば、その裁判官の給料泥棒行為に、10年の懲役を言い渡したい。


 ★ ★ ★ ★ ★ 

沖田氏は人生の中で、大切な10年間もの歳月、をロスした。
その沖田氏の痛みに対する理解が、
   今回の高裁の裁判官(大橋寛明裁判長)にも無い。
今回の高裁判決でも、十分な審議が行われていない。

 
一般人の常識としては、沖田氏に若し後ろめたさがあれば10年も掛けてこの様な訴訟を続けはしないだろう。
そして、沖田氏が無実であるならば女性が逆恨みで虚偽申告をしたと見るのが自然である。
この様な推測は、証拠だとか法律だとかでないが、世間一般の常識である。
常識と隔絶することが専門性だ、と考える現在の日本の多くの法曹関係者は、基本的に間違っている。

裁判官がもしもこの様な常識を持ち合わせるならば、事件そのものに直結しなくても、沖田氏と女性の双方が世間的にどのような一般的評価を受けている人物であるかを調査し、勘案することも、真実を見定める一つの方法であろう。
高裁裁判官も職務を尽くしていないのだから、職務怠慢である。

そして、今回の問題に限らず、多くの法曹関係者に毎度見られるのが、この種の「想像力の不足」である。

 ★ ★ ★ ★ ★ 

高裁判決当日に、テレビで、この事件の検証をしていた。
沖田氏と女性との身長の関係からみて、
   女性が述べているような痴漢行為はあり得ない、ことが分かるし、
携帯電話の通話を非難した沖田氏と女性の、車内での位置関係から、
   痴漢行為を想定するには無理があること、
がよくわかった。

テレビ局が僅か一日で行ったような「状況の検討」を、
一体、法廷では何故行なえなかったのであろうか。 私はそれは、
裁判官の想像力の不足、乃至は欠如による
と考える。

原告、被告、双方の主張が食い違う中で、実際の姿を推察する想像力も、
冤罪の悔しさに苦しむ被害者の心情に対する想像力もないから、
こんな馬鹿な判決を出すのに10年も掛かったのである。



 ★ ★ ★ ★ ★ 

過去半世紀の間、日本では人間のために使える国家予算を
     コンクリートに使って、きたことに、現在反省が行われている。
コンクリートだけでなく、このような無能な馬鹿裁判官に、
     公務員の中でも最高の処遇で、給料を支払い
,
挙句の果てには、叙勲までしてきた
    →{▲2009秋の叙勲を見て:参照}
ことも、反省の必要がある。

このエントリーは前回の記事:▲ 法務大臣に提案 、の補足としても、見て頂きたい。

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