出逢いの問題(7)終章:O君

私の友人O君は某地銀の頭取であったが、
刑事裁判で有罪を宣告されて獄中で、今から半年前(2004/11/29)に亡くなった。
 そのため、彼の姓名を明示する訳には行かない。 


Oの仕事の内容とか、生活の様子等を書くと、実名を伏せても、
   多くの人には誰の事か分るだろう。  だが、矢張り
   当面何年かの間は名前を出すわけには行かない。
併し、つい先日、別な大銀行の元頭取であった、別のO氏が、
   東京高裁で有罪を宣告されたので、「元銀行頭取O」、
   という言い方も、ストレートでなく、多少の目晦ましが
   出来た感じで、    此処に書いても良いであろう。

★実は[出逢いの問題シリーズ]は、O君の半年忌を意識して、
   追悼の意図で人の運に就いて述べ、 他人に依る
   人間の評価、というもののいい加減さを書く狙いがあった。
処が、2005/6/30 に、ヤマト運輸元社長の小倉昌男氏逝去
   の報が齎された。   そのご逝去の日が、
   財界人であり、小倉氏同様に、
            先見性と反骨精神に富んでいた
      O君の、半年忌であるのに、妙なご縁を感じた。

小倉氏も経営者としては、徹底的に官の規制と闘って
   筋を通して、社会に尽くし、現役引退後は障害者支援
   の財団を設立し福祉活動に尽された。
   小倉氏の人生は、実に感動的である。
   私は小倉氏とはお目にかかった事は無かったが、
   私のように歯軋りしか出来ないゴマメから見たら、
   本当に人間らしい生き方をされた、羨ましい人生であった。  


社会人となってからのOは、当時の
  日本の銀行マンとしては例外的に、新しい
  ビジネスモデルに、興味を持っていた。
 


 ●2005年の現在では日本の銀行でも常識的な業態となっている
   諸々の業務活動が、桁外れの非常識に見えた1960 年代である。
オンラインの経営業務サービスをする会社を、銀行の子会社の形で
   作ったり、
   彼の地銀の地元の商店街で、キャッシュレスの買い物を出来る
   ようにするため、其処で通用するクレジットカード用に、
   商店の店頭に設置するカード処理機械メーカーを、
   これも銀行の子会社の形で、立ち上げたりした。

Oの活動は、多くの銀行経営者、
         (他行は勿論のこと、彼自身の銀行も含む)、
   からは白い目で見られた。
大蔵省の役人が銀行に来て注意を述べ、帰って行くと、
   彼は大声で、「馬鹿野郎!」、と怒鳴った。
小倉氏も恐らく同じであったろうと思う。

 ●約10年ほど前に比べて、日本中の銀行員の数は
                  40 %ほど減っている。
   昔は銀行員の給与水準が高かった事を含めて考えると、
   日本は何という無駄遣いをしてきたのかと思う。

   小倉氏が宅急便を整備する前の、日本社会も同様である。
   Oや、小倉氏のような、新しいビジネスモデルを作る人材、
        を評価できない国は、一流国とは言えない。

★前記の様に、[出逢いの問題シリーズ]、は
        獄中に逝ったO君追悼の意図で、
   世間に依る人間の評価のいい加減さ
        を書く狙いがあった。

その意味で、中核記事になる、[出逢いの問題(4)]、に書いた
   コペルニクスやジョルダノ・ブルーノの話は、
   同時代の人に依る、人間の評価の出鱈目さ、
   を分り易く表現する心算で書いた。 

だが、現実のOやY、そして小倉氏の仕事の評価は、寧ろ
   現在のIT時代を作り上げてきたスタンフォード・グループ
   の話を引き合いにしたほうが、適切であった。

彼等の「先見性」だけでなく「夢」と「遊び心」
   に注意しないといけないからである


米国という、特別に懐の深い国、が無かったならば、
   今日のIT文明は無かった、と言われる。
インターネットを先駆けた、鈴木幸一の様に、官庁や大企業から
   酷い扱いを受けるのが、 日本人先覚者の宿命である。
   今回図らずも、小倉昌男氏という似たタイプの人物のご縁が
   生じるとは思っても居なかったが、そうしてみると、尚の事、
   「イットに金を出せ」なんてレベルの総理大臣の居る国、 
   Oを獄死させてしまう様な国では、IT文明は花開かなかった
   ろうことを痛感する。
 
その辺の事情を次節、「出逢いの問題(8)終章(続)」に詳述する。

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