伝統文化と常識の変遷(4)

文芸春秋(2007/8)に、「昭和の海軍・エリート集団の栄光と失墜」、という歴史記事が載っている。

1868に艦船6隻で設立されて、僅か40年後には世界の3大海軍となり、更にその40年後には悲劇的に消滅していた帝国海軍は、歴史の後半で何故、失墜への路に踏み込んだのかが、史実に基ずいて説明されている。

戦中派の私も知らなかったこと、あの時はそういうことだったのか、と思うことも多くて、私には非常に面白かった。
然し、逆に、読み終わったときに、暗澹とした気持になった。



それは、「日本で最も開明的なエリート集団であった日本海軍が、なぜ勝てる見込みのない愚かな戦争を始めて、ついには滅びてしまったのか」、という、この記事のテーマである歴史的教訓
が、現在の日本では全く忘れ去られていて、此処に書かれているのと全く同一パターンの愚行が、現在の日本社会で横行している事を、
比喩的に数え上げられた
ように、感じたからである。

『日本海軍は、かなり人工的に造り上げたエリート集団だった。
 日本のブライテストを目指した筈なのに、気付いてみれば、ムラの論理で組織が回っていた。
 ムラの論理は既得権擁護だから強い。
 それを覆すだけの特性を兼ね備えたリーダーをもてるかどうか、が今日の課題でもある』、
   という最後の部分は、本当にそのとおりだと思った。


このシリーズを書き始めて、
 ▲伝統文化と常識の変遷(1)  、には、
   {体験による常識の差}、が文化の伝承を難しくすることを、書き
 ▲伝統文化と常識の変遷(2) 、には、
   {体験以外に、教育(学校・社会)の効果}、も伝承を妨げることを、書き
 ▲伝統文化と常識の変遷(3) 、には、
   {エリート(学歴ではない)育生機構の喪失}、が現代の問題だ、と書いてきた。

が、・・・今回の文芸春秋の記事を見ると、
所詮、「歴史は繰返す」必然性があるのかなあ、と、思ったりする。

この記事へのコメント

2007年07月22日 17:14
佐久間様
小生の記事へTBを頂き、有難うございました。また貴重な歴史的事実を、文芸春秋の記事を借りてご紹介頂き、有難うございました。
それによれば、当時、米英仏ソに対抗するために日独伊三国同盟を結ぼうとした陸軍と、それを無謀として阻止しようとした海軍が、予算獲得を巡って、陸軍の主張に従わざるを得なかった事実や、上海に駐在していた海軍陸戦隊を守るため時の首相・米内海軍大将が陸軍の大部隊を派遣させ、それが戦線拡大に繋がった事実などが紹介されております。そして、これらは、正に陸軍と海軍のそれぞれの村社会の権益を守ろうとした戦いであったことが指摘されております。
貴殿より、このような村社会の争いは、現代の社会でも続いているというご指摘がありました。確かに、現在、日本
2007年07月22日 17:16
(上に続く)社会では、政党間の争い、同じ政党でも派閥間の争い、富裕県と非富裕県間の対立などがありますが、昭和初期(昭和10年頃)の陸軍・海軍の対立のような深刻な問題ではありません。しかし、よく大局を見極めることが出来るような指導者が必要であることは、前述の歴史上の失敗の事実が物語っております。
もう一つ重要なことは、組織の和であり、指導者グループの組織の和が必要で、このグループによって間違いのない方針が導かれることが極めて重要だと考えます。

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