金子きみ氏の戦中回想記事(2)

太平洋戦争末期の、東京脱出時の金子親子の出来事を、前回紹介した。
昔の社会は、あのようであったことを、現代人は理解できるだろうか。
戦災孤児・五郎君も、その五郎君に雅昭君を託した避難家族も、きわめて特別というのでなく、
半世紀前には、その様なことが普通に有ったのだ、
と前記事に書いた。

     ★ ★ ★ ★ ★

私が金子きみ氏の文章を読んだのは、広島原爆の64周年の8/6である。
当日のテレビでは、したり顔のレポーターやら、麻生総理の顔や発言が映っていて実に不愉快であった。
原爆後遺症者への援護措置を政治的に手配する、と尤もらしい顔つきで、(手柄顔で)、話すのを、汚いものを見る感じで、私は見ていた。

原爆後遺症の人たちに対する援護措置、はよいことだ。
しかし、 ・ ・、
東京大空襲の被災者は、名古屋大空襲の被災者は、どうしてくれる。
沖縄で、サイパンで、ソ連に不法に蹂躙された地域で、不本意な死に追いやられた人や、その遺族はどうしてくれる。
金子きみ氏の兄上だって、敗戦の数日前に沖縄で戦死している。

広島で亡くなった人だけが特別なのではなくて、
人間の死は、その人にとっては何処で、何時であっても、同じなのである。
広島だけが特別なのではない。


麻生総理のこの顔つきは、数日前の公害訴訟問題の報道の時にも、同じだった。
リーマンショックで定額給付金をばら撒いた時も、同じ顔つきだった。
        ▼ ▼ ▼
民間人戦争犠牲者を、上記のように各地で大量に発生することになった昭和20年の前年、昭和19年に、戦争を終結させるための運動をしていた吉田茂を含む何人かの人々を、弾圧した人物が、靖国神社に祭られている。
祖父吉田茂の志も、勝算皆無の戦争を継続した歴史も知らぬ麻生は、その靖国神社に参ったし、その時にも、同じ顔つきだった。
        ▲ ▲ ▲

その日の話題だから、という事情で取上げて、いい顔をするのは、
賢明でない(つまり愚鈍である)か、又は誠実でないかの
いずれかである証拠である。


在任期間中に一度も拉致被害者救済の動きもしなかったのに、衆議院が解散して選挙戦が始まると真っ先に新潟に行き拉致現場の視察をするのは、腹の中が見え見えである。
広島原爆の日の挨拶も、同じ言葉を使っても、まことに空しい。
本人は利口に振舞っているつもりだろうが、
私のような人間には、票集めの下心が丸見えで、実に不愉快である。

被爆者救済も、最初に私財を投げ出してそれを行い、
足りぬところに我々の税金である国費を入れるのなら、多少は評価できる。

広島の被爆後遺症の人、と同時に、
上野駅にいた戦災孤児・五郎君にだって援護措置をすべきだし、
国策で満蒙開拓に駆り出されてソ連に殺された青少年の遺族にも
援護措置をすべきである。

     ★ ★ ★ ★ ★

私は何も自民党が嫌いで、このようなことを書くのではない。
他の政党だって ・ ・ ・

8/6の原爆反対の日に私が想い出すのは、
昭和20年代の原爆反対運動には、
「米国の原爆は戦争のためだから反対だが、ソ連の原爆保有は平和の世界を実現するためのものだから賛成だ」
という政党があった。
その左翼政党Kの現在の主張は、政策としては私は最も共感を持つのだが、
その政党の勢力の強かった時代の主張を記憶する人間としては、一票を投じる気には、どうしてもなれない。

同様に、S政党も非常に論理的に立派な主張をしているのだが、北朝鮮が事実を認めた後までも、拉致の存在を否定し続けていたことを記憶していて、忘れることが出来ない。

K党にしてもS党にしても、
それらの主張が変わった後から、「ごめんなさい」、の一言が無い
のが、最も許せない。

     ★ ★ ★ ★ ★

長生きをして、いろいろなことを見てきた結果、こうして、
何を言うか、でなく、何をしたかで
   人間や団体を評価するような癖、
がついた。 例えば、
   ▲[B-39] :「人間の評価」に就いて(4)春の叙勲
のように。

何も考えずに、横山ノックや、青島や、小泉に、気楽に一票を投じることのできる人の方が、悩みが無くて幸せなんだろうけれど。

金子きみ氏の戦中回想記事を読むと、昔の日本を知っている人間は、つい、いろいろと余分なことを考えてしまう。

この記事へのコメント

痩せ蛙
2009年08月15日 05:04
何も考えずに、横山ノックや、青島や、小泉に、気楽に一票を投じることのできる人の方が、悩みが無くて幸せなんだろうけれど。・・・→
それは、豚小屋で飼育されている豚の幸せ。 自分で食料の心配をしないで済むのが、幸せ、というものではないでしょう。

この記事へのトラックバック

  • 「縁」に就いて(4) 中山正男

    Excerpt: ★「きらり」が、NHK朝ドラマとしては近来稀な好評で、日本中で高い視聴率を得た。  ドラマの中の人々の人間関係、生活感覚が、現在の日本で失われた、私の幼少の頃と相通じ、当時の社会情勢とを、このドラマが.. Weblog: 佐久間象川 racked: 2009-08-11 03:00
  • 民主党よ。お前もか

    Excerpt: 今月末の衆議院選挙に私は、民主党候補に投票する心算で居た。 多くの人のとは異なり、私のブログは投稿回数が少ない。 今年になってから半年の間に、私が書いた記事は5編だけである。 それらを見て頂けば分か.. Weblog: 晩秋 racked: 2009-08-14 07:39
  • 第64回終戦記念日

    Excerpt: 昨日、2004/8/16、第64回の終戦記念日には、新聞もテレビも多くの終戦関連記事を報じていた。 昨年も、この日の私の感想は ▲[A-88][2008/8/14] 終戦の日とメデイアの無見識 に書.. Weblog: 二人のピアニストに思う racked: 2009-08-18 18:05