「轢き逃げ有利」の法治国

殺人事件の時効をどうするかが最近論議されているが、
     如何にも日本的な風景に見える。
今までにも、我が国独特の珍風景については何度か書いてきた。 例えば、:
   ▲福知山線・列車事故の原因①
   ▲性悪説論者の弁(3)


日本で初めて誕生した理系内閣に、この珍風景の改善を期待して、再度書くことにする。

 ★ ★ ★ ★ ★ 

死刑制度廃止論者は、
   「先進文明国で死刑が残っている国は、日米以外には殆どない」、と言う。
日本では死刑を免れて無期の判決を受けた犯罪者が、10年くらいで出所してくるのに対し、海外では懲役800年などという判決が出たりすることを無視して
死刑制度廃止論者は、「死刑制度が犯罪抑止効果を持たない」、と言う。

その種の、「社会防衛に無頓着な」、法制度が犯罪を増加させている好例が、
轢き逃げ、である。
事故を起こした時に警察に届け出ないで、
     逃げた方が、たとえ捕まった時にも刑罰が軽いし、
      5年間捕まらなければ時効だ

と先輩に教育されることが、「轢き逃げ」多発の原因であるのは、以前に書いた。

容疑者が逮捕されないまま、公訴時効が成立した
     死亡轢き逃げ事件が、04~08年に151件
あった、
と毎日新聞が報じている。
 毎年約30件である。
 そして時効成立の件数は、殺人事件の倍
もあるという。

 ★ ★ ★ ★ ★ 

数字を示すと、つ後のようである:

99年~03年に起きた死亡轢逃げ事件は1516件で、
   このうち04~08年の間に、151件(約10%)が時効になっている。
   年平均30件が時効、である。
一方殺人事件は89~93年の間に6221件(毎年約1200件)発生して、
   時効(15年)成立が255件(約4%)だから、年平均17件が時効だ。

法務省の考え方は、轢逃げは交通事故であり、殺人・傷害とは違うとのことらしいが、
死亡轢逃げは実質上の殺人、であり、
  怨恨による殺人よりも、考え方によっては性質が悪い。
                    しかも
公訴時効はたった5年間、で成立し、
  時効成立数は、本来の殺人事件の倍もある。


このことを逆に言うと次のようになる。

若しも、交通事故を届けずに逃げると、刑罰は殺人罪を適用する
と法律に書いてあれば、死亡轢逃げの発生件数は恐らく殆どゼロになるであろうから、毎年1500人くらいの人命が救われる。

それだけでなく、路上での運転のマナーが良くなることにより、一般の事故の発生件数も大変に減ると思う。


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近頃頻繁に発生する事故:渋滞で停止している車の行列にわき見運転で追突するのは、殆ど大型トレーラー車である。
普通の場合、事故が生じても被害は相手側が大きいということで、
常に相手が逃げる、そして自分は横着な運転をする大型トレーラーが事故の原因になっている例が多い。

この種の横着運転にも、事故で死者が生じた場合は殺人罪を適用することを決めておけば、事故発生件数は激減するに違いない。

この様な理系の思考パターンは、従来の法務官僚や政治家には、存在しないものであった。
鳩山内閣は発足の直後で仕事が多くて、今直ちには手が回らないと思うが、遠からぬ将来、この方面にも改革を加えて貰いたい。

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