「司法」と「報道」(2)

前回記事に述べた、「司法とジャーナリズム」の関係が、
最近の日本では危うくなっていることを、 我々の仲間は、
機会あるごとに、論及してきた。 それらの記事を紹介する

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   以下に示すそれらの記事名、 の後の、
       ● の項目は、当該記事からの引用文など、
       ○ は、 私の意見や注釈
、である。
 例えば、
          ★ ★ ★ ★ ★
▲ 轢き逃げ有利の法治国 :[B-100]:[2009/10/10]
        などが、その種の記事、の一例である。
        概要を紹介する:  : →

 ●小学生の通学の列に乗用車が飛びこんで死傷者
   を出したり、渋滞で停止している車列に、後方から
   脇見運転の大型貨物車が追突して複数の死傷者
   を生じた、などという事故が頻発する。
   頻発の原因は、「社会防衛に無頓着な司法」、にある。
   この様な死傷者を出すことは、事故でなく犯罪なのだが、
   日本の司法関係者はそうは考えない。 
   法制度が犯罪を増加させている好例が、「轢き逃げ」だ。
   事故を起こした時に、「逃げた方が、例え捕まった時にも
   刑罰が軽いし、5年間捕まらなければ時効だ」
   と先輩に教育されることが、「轢き逃げ」多発の原因
   であるのは、以前に書いた。

   容疑者が逮捕されないまま公訴時効が成立した
   死亡轢き逃げ事件が、毎年平均約30件。
   そして時効成立の件数は殺人事件の倍もある。
   しかも、時効はたった5年間で成立する。
   このことを逆に言うと次のようになる。
   若しも、「交通事故を起こした場合に届けずに
   逃げると、刑罰は殺人罪を適用する」、
   と法律にあれば、死亡轢逃げの発生件数は
   恐らく殆どゼロになるであろうから、
   毎年1500人くらいの人命が救われる。
   運転のマナーが良くなることにより、一般の事故
   の発生件数も大変に減る。
        ・ ・ ・ ・ ・ ことを書いている。

          ★ ★ ★ ★ ★

     事故を起こした時に、
     「逃げた方が、捕まった時にも刑罰が軽い」
           と教育するのは、無法者の先輩だが、
     「酔っぱらっている方が、刑罰が軽い」、
           と実地教育をするのは裁判官だ。


▲ 法務大臣に提案 :[B-104]   、には
      : →
 ● 「人を殺しても、酔っていて覚えていなければ、無罪」、
                     の判決を出す裁判官や、
   『空き巣事件にいつも甘い判決を出していたが、自宅が
    空き巣被害に逢ってから、 厳しくなった裁判官』。、
         などにも、日本では身分保障をしている。
  ・・・・・ことを書いている。 その上、

          ★ ★ ★ ★ ★
       法務官僚は仕事をしない方が、
       給料も退職金も多くなる話が、: →

▲ 耐震強度偽装問題 :[C-111][2005/12/24]
   にある。 また、

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▲ 日本の司法制度 :[C-180]
        の、キャズ君の主張の概要を紹介する: : →
 ● 飲酒無謀運転、轢き逃げ、などの事故の多発と、
   それらの加害者が捕まっても呆れるばかりの
   量刑の軽さ、に世論が激高して、流石に日本の
   司法当局も放置できずに、「危険運転致死傷罪」を作った。
   然し、法律は作らされたものの、彼等自身の心中深くは
   それを納得していないので、その法律を適用する事は
   極めて稀で、作った意義が無いのが実情である。
   無謀な運転をすると酷い目にあうぞ、という心理的圧力
   による抑止効果を民衆は期待するのだが、
   司法関係者の多くは、そうは考えないので、法律は
   出来たが、現実の問題に適用しようとしない例は: →
 ● 「危険運転」でなく、「業務上過失致死傷罪」と判断して、
   懲役7年6月にとどめていた一審判決を、福岡高裁判決は、
   一審判決は誤りだ、と断じ、「危険運転致死傷罪」、
   を適用して懲役20年とした。

 ○キャズ君はこの記事に書いていないが、裁判官によって
   逆な判決が出ることまであるのを、私は付け加えて置く。
   ◎一例は、日本長期信用銀行(破綻して新生銀行に)
    の粉飾決済事件で、元頭取ら旧経営陣への高裁判決は、
    地裁判決を支持して有罪としている。 この刑事事件の
    高裁判決が出た2005/6/21日の新聞を見ると、整理回収
    機構が起こした民事訴訟では、前月の東京地裁は無罪
    としたので、機構側が控訴中だと書いてある。 つまり、
    民事と刑事で法解釈が逆だった。
   ◎関西から上京して69/4/28の沖縄デ―デモに参加して
    暴れ、逮捕された、三菱電機社員・前原英文を、会社が
    懲戒解雇したのに対し前原が地位保全を申請。
    神戸地検尼崎支部で、1970/3に山田義康裁判長は
    申請を認めた。 会社の異議申し立てで同じ裁判所で
    行われたところ、今回は奥輝雄裁判長が、会社の処分を
               認める判決。を出した。
   ◎出入国管理法違反で収容されたアフガニスタン人9人が
    難民認定を申請した東京地裁での決定は、4人を担当した
    裁判長は2001/11/5に申立てを認めず、5人を担当した
    裁判長は2001/11/6に申立てを認めた。
     同じ裁判所で、逆な判決、が出たが、
         裁判官の想像力の差異によるのだった。

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▲ 「腹立たしい「布川事件」処理 :[B-122]:[2010/7/9]
        には、題名のとおり、布川事件での司法手続きの
        進行の鈍さを指摘。 その他の概要を紹介する: →
 ● 非常識な裁判の姿に世論が怒り、批判が盛り上がる中で、
   司法当局が、(格好を付けて)、市民の意見を取り入れる
   ため、と称して、「裁判員制度」、なるものを、
                こっそりと造った。
 ○ ことが書いてある。 このブログは7月に公開されたもの
   なのに、再審第三回公判が開かれたのは、今月、9/10である。
   この時に、現場近くに住む目撃者の女性が初めて
   証人として出廷し、67/8/28の事件当夜に目撃した犯人と
   見られる男は 無期懲役刑が確定した杉山卓男氏でなく、
   近所の別の男性だったと、実名を挙げた。
   この女性は事件直後の警察の事情聴取でも同様な話を
   していたのだった。 なお、この実名を名指しされた男性は、
   弁護側に事件への関与を否定しているというが、
   今となっては真犯人を挙げることは絶望であろうし、
   そうなった原因は、司法手続きの進行の鈍さである。

確実に無実が認められるに相違ない、布川事件の二人は、
   42年間冤罪を被っているのに、何故もっと裁判を急いで
   やる、という思いやりが司法関係者に無いのだろう。

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▲ 腹立たしい「法科優遇」 [B-121][2010/6/21]
        には、中国の裁判の話が紹介されている。 : →
 ● 中国河南省趙楼村の趙作海は、12年前に男性を殺害した
   として、02年に死刑判決を受けた。 その後懲役刑に減刑
   されて服役中に趙は離婚され、自宅は朽ちていた。
   ところが、今年4月に殺された筈の男、が村に現れて、警察、
   法廷のずさんさが生んだ冤罪事件が、明かになった。
   5月9日に同省高級人民法院に、趙は無罪判決を
   言い渡されて、自由になった。
   同省政府は事件の担当警官と裁判官を処分した、という。
 ○ 中国では、司法に誤りがあれば、担当者を裁く
   ということと、その処置の敏速さ、が羨ましい。
   日本ではその逆である一例が、前記の布川事件での司法
   手続きであるが、布川事件よりも、もっと長期の袴田事件は、
   1966年に起きた強盗殺人事件で、1968年に地裁で死刑判決
   を受けた袴田巌は、30歳で逮捕されて以来45年近くに亘り
   拘束されている。たび重なる再審請求が行われているが、
   死刑確定後は精神に異常を来している。 
   袴田への取調べは過酷を極めたと伝えられているが、
   それらの違法行為は、次々と冤罪を作り上げた紅林麻雄
                 警部人脈の関与があった。


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▲ 呆れた高裁判決 : [B-105][2009/11/30]  
       : →
● 1999/9に、JR線車内で女性に痴漢行為を働いたという
   虚偽申告をされた沖田光男氏が、賠償を求めた裁判の
   控訴審判決が、2009/11/26に東京高裁(大橋寛明裁判長)
   で出た。 事件から10年後である。
   女性が車内で携帯電話で話しているのを、沖田光男氏が
   注意したところ、女性に逆恨みで虚偽申告された、
        というのが、沖田氏の言い分である。

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▲ 呆れた高裁判決(続) : [B-107][2009/12/25]  
      : →
 ● 「名張毒ぶどう酒事件」の真相がどうか、検察と被告の
   どちらが正しいのかとは全く別な問題として、ここでも
   布川事件同様に、司法関係者の、時間に関する鈍感さと、
   正義感と想像力の欠如、は非難しておかねばならない。

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2010/9/8、鈴木宗男の実刑が確定した。 2002の
   衆院予算委での証人喚問、 収賄容疑での逮捕、 起訴、
   初公判、から8年目で、最高裁の上告棄却で、
   漸く裁判が終わった。 この間に、二度衆院選に当選し、
   衆院外務委員長にも就任しているし、 テレビ局では
   比較的最近でも出演させて勝手なことを喋らせている。
もしも司法審理手続きが敏速であったら、この様なことは
   あり得なかったし、 報道機関に、 良心があったら、
   こんな男を出演させなかった筈。


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2000頃のマスコミ論調を振返ると、
   「変われ。裁判所(人の痛み、伝わる法廷に)」、とか、
   犯罪を「法律違反」とだけ考えて、
        生身の人間への「被害」、と見ない、こと、
   既存の司法制度に素朴な疑問を持たないこと。
   そして、そういう態度こそが専門家だという考えが、
   目の前で被害者が理不尽な目に会っていても、平気で
   無視させたことを、難ずる記事もあった。

最近は、その種の記事もあまり見かけなくなった、と思って
   いたら、前回記事:「特捜神話の終焉(続)」に書いた、
   大阪地検特捜部の強引な取り調べや、客観的な証拠
   の欠如の他、取り調べメモの廃棄などの捜査上の不備
   も浮き彫りになり、事態がさらに深刻化しているのを感じた。

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