原発謝罪の歴史

★ ★ ★ 報告書生きず ★ ★ ★

原発事故について、政府は事故調査検証委員会の
   設置を5/24に閣議決定で決める予定だという。

既に今までに、経産省・原子力安全・保安院、 
   内閣府・原子力安全委員会、 原子力安全
   基盤機構、などと、似た名称だが、
   夫々の存在理由も、守備範囲も、定かでない
   官庁組織が多数あり、先月誰かが数えたら
   20位あったらしい。

こうしたことは我が国では毎度の、見慣れた風景だが、
   責任を取らない組織が幾つあっても、
   また一つ増えようが、国費の無駄遣い以外の
   何物でもない。

例えば、原子力安全基盤機構は経済産業省所管の
   独立行政法人である。 原子力施設の安全性を
   研究するのが業務で、2010/10月に地震時の
   原子炉の過酷事故の流れをシミュレーション
   した結果の報告書を纏めた。
   福島第一原発と同じタイプの沸騰水型軽水炉
   (出力80万kw)について、 電源を喪失し、
   原子炉への注水が出来なくて、炉心の冷却が
   停まった場合の、 事故の推移を調べた。

結果は、1時間40分後に核燃料の溶融による落下が
   始まり、3時間40分後に原子炉圧力容器が破損、
   6時間50分後に格納容器も破損すると予測された。

2011/3/11の実際の福島第一原発1号炉の事故では、
   注水不能に陥ってから8時間40分後に格納容器の
   圧力が異常上昇、23時間後に水素爆発を起こした。
   上記機構の解析よりも事態の進展が緩やかだったが、
   それは、電源喪失後に電源が無くても原子炉の
   余熱を利用する冷却機構が暫くは働いていたため、
   だという。
          大切なことは、
   こういう事故が起こり得る、という予測が有った
   ということであって、経過の詳細が
        完全に正確であったかどうか、ではない。
   報告書の予測通りに事故が起こりました、
   というのでは、何のための委員会であろう。

★ ★ ★ 原発謝罪の歴史 ★ ★ ★

毎日新聞では、2011/5/17の特集ワイドとして、
   「原発謝罪の歴史」、を組んでいる。 週刊誌、新聞
   などで近頃この手の記事は幾つかあるが、これが
   毎日新聞の記事だということが面白い。 というのは、
     ▲ 「科学技術過信の果て」ではない:[C-250]
     ▲  「科学技術過信」ではない(続):[C-251]
のブログ記事、にキャズ君が述べた内容:
   (3.11 以来の国難は、「科学技術過信」
    が原因ではない)、  の証明になるからだ。

キャズ君の二つの記事の発端となったのは、
   毎日新聞の記者が、「科学技術過信」が
   事故を招いた、と書いたことだった。
   そうではないよ、というキャズ君の主張が、
   その同じ毎日新聞の今回の特集ワイドで
   見事に証明されている、 のである。

今回の、「原発謝罪の歴史」では、主として今世紀
   における原発関連の事故が起きた時に、政府や
   電力会社などの関係機関が行った対応、謝罪、
   や将来に対する約束などを紹介し、その後の経緯
   を概括し、それらの評価をしている。
   この記事は情報量がかなり多いのは有難い
   のだが、逆に、そのため、些か読み難い。
   これは仕方のないことであるが、此処にその項目
   だけを紹介しておく。 (要約だけでも記事が長く
   なるので、項目だけにする):

●99年9月30日の、JOC(核燃料加工会社)の臨界事故
(作業員二人死亡)、●02年8月の東電のトラブル隠蔽発覚
●06年11月の検査データ隠蔽発覚、
●07年3月、(78年と99年の臨界事故)の隠蔽が発覚、
●07年7月、中越沖地震の被害に絡む約束、
●09年の産業技術総合研究所の指摘と、
     今回3/11福島原発の津波被害
               などである。
これらには、 問題発生以前に内部告発が有って、
   もしそれに対応していれば事故は防げた、とか、
   逆にこれらの事故発生の当時に当局者が行った
   約束を誠実に実行していたならば、今回3/11の
   事故は予防できたのに、という實話ばかりの
   歴史
である。

この特集記事には、3枚の写真が掲載されている。
   02/12、04/8、07/3のもので、その事故処理
   の時に関係機関の幹部2,3人が机の前に
   並んで頭を下げている、毎度おなじみの写真である。

もしこの写真の時点の約束が実行されていたならば
   今回3/11の事故は予防できたのに、という
   上記の事実を考えるとき、これは、謝罪したとか、
   責任を取ったということではあるまい。

     ★ ★ ★ ★ ★

1945までの日本では、責任を取るということは
   切腹するということ、であった。
   今回話題になった原発謝罪の歴史に限らず、
   戦後日本をこのよおうに劣化させてしまった
   根本原因は、責任を取るということが
   机の前で並んで頭を下げるという、安直なこと
   に、なったことにある。
今回も東電社長は責任を取って辞任するという。
   それで責任を取ったことになるのだろうか。
   上記の02/12写真に東電の勝俣恒久会長
   (当時社長)が写っていて、当時、氏は
   「データを粗末に扱わない風土を確立したい」
   と述べていた。
   しかし、今回の社長辞任に際しても、勝俣氏は
   残留するらしい。 そして、このような責任の取り方
   東電だけが特別なのでなく、最近歴代総理大臣
   をはじめ、政官財界を通じて、全て共通している。

折しも小学校から英語教育というバカげた文教政策が
   実施が始まった。 しかも、児童に英語を
   実質的に教えるのは無資格な外国人だ。
   有識者の猛反対にも関らずこの馬鹿げた政策が
   気楽に行われるに至ったのは、矢張りその決定を
   する部署に居る人間の責任の取り方が、いい加減
   であるところに根本原因が有る。

よくよく考えて決断をしなければ切腹だぞ、ということ
   が無く、権力者が物を決めるところに問題
が有る。

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