再度、“文系と理系”

福島原発の事故処理(3):[B-152]
に述べた文系と理系の問題は、私の主観ということでなく、
   誰の目にも明らかな型で、表面化してきたのには、
   私自身が驚いた。

福島原発の事故発生直後の対応を巡って、事故後
   2カ月以上も経っているのに、当事者の間で、
   言った言わない、のゴタゴタが続いていた。
   5月21日に政府・東電統合対策室が文書を発表。
   翌日22日に、原子力安全委員会・班目委員長が、
             福山哲郎官房副長官に、
   この文書の訂正を、要請した件である。

「班目氏が“危険性がある”と言った」、と
   文書に、書かれていたのに対し、班目氏は
   「そんなことは言っていない。
    ”危険性がゼロではない”、と言ったのだ」
   と主張し、 統合対策室は、22日に訂正に応じた。

新聞にも大きく報じられたけれど、一般市民は勿論
   のこと、報道した新聞記者にも、政府関係の
   文系人間(管総理を含めて)にも、班目氏が
   何を言っているのか、理解できないだろう。
   
あまりゴタゴタが続くと、みっともなくて、
   ただでさえ悪い現政権の評価が更に悪化するので、
        相手の言っていることは理解できないが
        政府側が訂正を受入れた、
   ということだろう。

これが正に、日本における
        文系と理系の問題、の表面化であった。
   「割り切らなければ原発の設計が出来ない」
   という班目氏の発言が、メデイアで問題視されて
   報道されたこともあったが、これも文系記者どもの
      頭脳の限界を示したものであった。
航空機事故発生の確率も、巨大隕石が地球に衝突
   する確率も、数学的ゼロではないが、我々は
   それを無視して生活している。 そのような割り切り
   を理解できないのが、日本の文系人間である。

       ★ ★ ★ ★ ★

班目氏の発言がよく理解できない方には、
  キャズ君のブログ記事:
     ▲「不確定性原理」:[C-17]
     ▲「“絶対の探求”」 :[C-28]
をご覧になることをお勧めする。 この内、
「不確定性原理」は[1978/5/17]に、「“絶対の探求”」は
[1979/1/25]に新聞コラムを、そのまま転載された
ものである。

       ★ ★ ★ ★ ★

5月21日に政府・東電統合対策室が発表した文書では、
   『福島原発では3月12日午後2時53分に
   真水の注水を停止したが、その後で3時36分に
   水素爆発が起こった。
   それで午後6時から6時20分の間に官邸で、
   安全委員会と安全保安院が海水注入の実施
   を検討したが、この時に班目氏が、
   「再臨界の危険性がある」と発言した』、となっていた。

下線の部分が、班目氏の要請で訂正された個所だ。
   福島原発一号機では、炉心冷却のために、
   3月12日午後7時04分に海水試験注入を開始、
   7時25分に注入停止。
   7時40分に保安院などが管総理に検討結果を説明、
   8時ころに管首相、海江田経産相からの
        海水注入の指示・命令が出て、
   8時20分、海水注入を開始。
   8時45分、再臨界を防ぐためのホウ酸投入開始。
 という経過を辿った。

一旦始めた海水注入が55分間中断した問題を
   巡って、政府、東電、原子力安全委員会の
   班目委員長、三者の間で、言った言わないの
   ゴタゴタが続いていた。

再臨界の可能性は皆無に近かった、とみる専門家
   は多い。 例えば、住田健二・阪大名誉教授は
   「原子炉内に真水が大量に入っている状態で
   海水を入れても中性子の吸収量は殆ど
   変わらない。 むしろ不純物が混じれば
   中性子が吸収されて臨界が妨げられる」と言い、
   「海水が55分間止まったことで、炉内の温度が
   上がったり、沸騰したりした可能性はあり、
   影響はあったと思う」、と言っている。

理系頭脳といっても個別に意見は相違する。
   しかし、意見の相違と、理解度の相違とは
   全く別
である。
   交通手段としての飛行機の安全性とか、
   人類の生存のためのエネルギーの使用法とか、
   哲学的思考の前提としての、理系の教養が欠如
   しているから、事故後2カ月以上も経っているのに、
   政府は公文書の作成、さえ出来ないで居る。
   過去一世紀の法科万能の社会構築の齎した
   病状
である。

この記事へのコメント

晩秋
2011年06月02日 01:56
斑目氏は当初、「再臨界を言う筈がない。 私の原子力に関する知識をバカにしている。 侮辱もいいところだ」と批判していたが、マスコミの取材を受けているうちに、「学問的にゼロではない」という発言をしていたことの記憶が蘇ったどうだ。 それで事務官の頭脳内部を理解出来て、「再臨界の可能性を問われ、ゼロではないとの趣旨の回答をした」と訂正することで、折り合ったそうだ。 相手は体は大きいし、社会的地位は高いけれど、オツムのなかは幼児並みなのに気付かなかった点で、斑目氏は責任がある。 お気の毒でした。

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