裁判所と原発

毎日新聞6/5日号に、伊藤正志論説委員の書いている
  記事のメモを此処に残しておく。
  「裁判所は原発と向き合ってきたか」、という題で
  反射鏡欄に載ったもので、データが貴重なので、
  見易く残しておく必要がある、と感じた。
原発を巡っては、約40年前から全国各地で訴訟が起こされ、
       安全性への疑問を、法廷で訴えてきたが、
  裁判所はどのように対応してきたかの、吟味である。

● 原発の安全性に対して、明確にノーを
      突きつけた判決が、二件
ある。:
 ▲もんじゅ訴訟二審・名古屋高裁金沢支部判決
     (2003/01):「もんじゅ設置許可の“無効”を確認」
         「2005年最高裁でひっくり返されて、
                 住民側の敗訴が確定」
 ▲滋賀原発訴訟一審・金沢地裁判決(2006/03):
     「滋賀原発二号機の運転差し止めを命じた」
         「高裁でひっくり返されて、
                 住民側の敗訴が確定」

● 最高裁は「法律審」だから、通常は、事実認定はせず、
       原審の法解釈を調べるのだが、
 ▲もんじゅ訴訟の際、最高裁は、高裁の事実認定を、
       大幅に書き換えて、判決を下した。
 ▲一方、柏崎刈羽原発訴訟では、2007年の中越沖地震
     を受けた注目訴訟だったが、2009年の最高裁でも
     住民請求を退ける高裁判断を追認したときに、
     法律審であることなどが理由になっていた。

● 柏崎刈羽原発訴訟の住民側代理人、伊東良徳弁護士は、
    上記の最高裁の姿勢を「一貫していない。 国側を
    勝たせたいということだけが、一貫している」と批判。

● 浜岡原発の運転差し止め訴訟は今も係争中だが、
    2007/10/26に静岡地裁が住民の訴えを退けた時に、
    「判決の間違いは自然が証明するだろうが、
     その時は、私たちが大変な目に遭っている」、と、
    石橋克彦神戸大名誉教授は、地裁前で述べた。
    {▲ 「科学技術過信」ではない(続):[C-251]

     ★ ★ ★ ★ ★

石橋氏の裁判所の印象は、「論理の通らない世界
   最高裁の影響もあり、原発は国策との意識が働いた
   のだろう」とある。 本当の国策ならば、まだ良いのだが、
   一部の人間の利権やら、思いこみの国策に、
   歴史が流されるのは大変に困る。

福島第二原発の設置許可取消しを求めた訴訟は、1975年に
   起こされた。 大地震や津波の可能性も指摘した訴訟
   だったが、一審判決(84年)、仙台高裁判決(90年)、
   最高裁判決(92年)とも、すべて敗訴した。 高裁は
   「原発が発電量に占める割合」などを理由にした。
   その原告団長だった小野田三蔵(73歳)は、地震で自宅の
   天井が落ち、自宅のある富岡町が警戒区域となったため、
   94歳の認知症の母親の入院する新潟に避難生活している。
18年も時間を掛けて、敗訴の判決を出した裁判官に、現時点で
   報道関係が、意見を聴きに行かないのは、記者の怠慢だ。

私が前回と前々回の記事:
   ▲原発謝罪の歴史:[B-154]
   ▲ 再度、“文系と理系”:[B-155]
に書いた通り、
  国の舵取りに、もっと論理を大切にして貰いたい。
    東日本震災の復旧、などということでなく、
    戦後日本の復興、と言うレベルで物を考えるとき、
  基本とすべきは、「論理の通る世界」、を作ることだろう。

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