何が正しいか(2)

前回の記事に書いたことを理解して頂くために、私のブログの旧い記事の内容抜粋を紹介する:

     ★ ★ ★ (1) ★ ★ ★

▲  「NHKらしさ」:[B-2][2005/04/07]、は些か記述が長すぎるので、その内容の抜粋を紹介する:
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{中略}。 格好の良いことは言うが、 本質的な、難しい部分は逃げてしまうNHKらしい放映だ。
ある参加者が、「教育者の評価は、生徒が遥か後年になって、あの先生は良い先生だった、と分るのだが」、と言った時に、司会のアナウンサーが、その問題提起を避けて通ったのを見て、NHKらしいと感じた。
最大の困難に触れずに、「成果の評価を公正に行なうこと」、と綺麗ごとを謳うのがNHKだと思った。 
  ★ ★ ★
{中略}。  学問的には、あの研究成果を産み出したのが、川崎教授とそのグループの能力と努力だった。
しかし、社会的に見ると、違う評価が有り得る。
この研究成功の決め手は、助教授、助手、大学院生などのメンバーの選任から、研究費までの全てを、教授が決めることが出来た体制、にあった。
世界的に有名な東北大の金属材料研究所ではあるが、最初からその様な仕組みがあった訳でなく、西沢潤一学長が、文部省に逆らってこの様な体制を作ったために、この成果が生まれたと見れば、最大の功労者は西沢氏である。
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私費と違法に支えられていた日本の大学の研究
☆①:米国では大学教授の研究費は、物品の購入だけでなく、人件費にも、外国出張旅費にも使用できる。
教授の責任と判断によって、最大の成果を生み出す為に、最も有効な方法で使用される。

一方、日本の国立大学や官庁研究所では、研究費の使用は細かな規則に縛られていて、人件費・旅費などへの使用は論外であり、物品の購入さえままならない。
物品購入の可否を決めるのは、研究室の教授ではなくて、会計課の事務官であった。
只でさえ、米国の大学教授に比べて秘書など研究補助者が少なくて、雑用に時間を取られる日本の体制の中で、意欲的な教授は、研究に充てる時間の10倍以上の時間を事務屋の説得に費やし、能力と時間のムダ使いを強いられていた。
  ★ ★ ★
バイオの研究が今ほど華やかになる前の1970年代、この方面で先端的な研究に着手していた某大学のA氏が、
イカの神経を使用する生化学の基礎研究を企てて、イカを研究費で購入する手続きをしたら、
『さしみにして食う疑い』、をかけられて、大学の会計課に購入を拒否された。
彼は毎朝自分の小遣いでイカを買って研究を進めていた。

某大学のB教授は電気冷蔵庫の購入を、 『目的はビールでも冷やす為ではないか』、と会計課の役人にかんぐられて認められなかったので、私物の冷蔵庫を研究室に持ちこんで研究に使用していた。
しかも私物を研究室に置くのは違法行為だから、毎年会計検査の時期になると、重い冷蔵庫を自宅に運んで、検査に引懸らないようにするのが大変だった。
   {中略}
 事務官は、 「研究ができるか、できないかは私は知りません。
 しかし、さしみを食われたり、ビールを飲まれては、私の責任になります」、と言う。
研究の進まないことは事務官の責任にならない
 ここに日本の役所に共通の一つの問題点がある。
{中略} 先端的な研究に着手して、前例の無い事をしようとすると、同種トラブルが必ず発生した。 
問題の根本は、意欲的な研究者を、無見識な事務屋が管理する、というシステムにある。
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一般の民間人の方はご存じないだろうが、たとえ研究目的に感動した善意の市民が寄付した研究費でも、一旦納入されれば、それは研究者でなく、会計事務官が管理し、支出の決定をする事になる。
(研究とは前例の無い仕事をするもの、と思っている)研究者が必要と判断しても(前例の有ることが判断基準の)事務屋が拒否すれば使えないシステム、なのだ。
教育用の分子模型を作る目的でゴルフボールの購入伝票を出したら、会計課に疑はれて買って貰えなかった、などの話は大学には幾らでも有る。
意欲の有る研究者は、上記の例のように、私物を研究室に置くような違法行為をするか、研究を諦めるか、の選択を迫られる、という矛盾を生じる。
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☆:研究出来なくても良いが、違法行為はしない,と、したり顔で言う教授も居るが、研究しないなら給料も貰うべきでなかろう。 彼等は年間数百万円の給料を泥棒する。

☆:例えば、東大の副学長の教授が科学研究費の不正処理をしていたことが発覚した、といった新聞記事が出ると、若い人は”怪しからぬ奴が居る”と考えるのに対し、年配者は”何百人の同様な行為をしている中で、不運な奴が尻尾を掴まれた”という見方をする。

不正を捕まえることは必要だし、それを報道することは重要な意味のあることだ。
 しかし同時に、不正の種類により社会的な意味合いが異なることを、良く配慮すべきだ。
私物の冷蔵庫を研究室に持ち込むという『違法行為』を問題にするのが正しいことだろうか。

☆:制度的に不正をしなければ研究が出来ない状況の中で私の知っている何百人の大学教授が法律的には不正を働いているが、幸いにも、私の知り合いでは唯の一人も問題化したことは無い。 
東大副学長は実に不運であった。
マスコミがこの種の問題を取り上げる時は、権力者の収賄とか個人的なねこばばしたという事件とは別のアングルから、つまり個人的な不正よりも、それをせざるを得ない研究環境といった視点から取上げて貰いたいもの。

格好の良いことは言うが本質的な、難しい部分は逃げてしまうNHKらしい放映を見たので、今迄にも人に話した主張を蒸し返した次第。

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  • 何が正しいか(1~3)への補注

    Excerpt: 余り一般的でない用語を用いたので、その説明をする。 「預け金」について、である。 大学などの理科系の研究者が、買ってもいない物品を買ったように見せかけて業者に金を渡し、預かってもらうことである。 .. Weblog: 佐久間象川 racked: 2012-08-27 12:03