佐久間象川

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zoom RSS 出逢いの問題(8)終章(続):O君の評価

<<   作成日時 : 2005/07/03 12:34   >>

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★O君は私自身よりも、私のブログでも何度か紹介した
  友人Y君、(例えば、[出逢いの問題(4)]など、参照)、
   の方が親交があったのだが、 改めて考えてみると、
  両者(そして小倉氏も)は、生活圏の相違に関わらず、
  性格の基本に、非常に類似点があった、
  のに気付く。

戦前は、地方行政(県庁)のトップは、内務省の高級官僚
  が出向していたものだが、私の郷里では、
   県庁の bP(知事)と、
   bRの息子が、私の中学校で同級に居た。
   bRの息子がOである。 
一方、Yの生家は小さな小売商店で、Y自身が
   よくOの家(官舎)に、品物の配達に行っていた。

両者の生活環境が全く違っていたにも拘わらず、
  OとYとが不思議にウマが合ったのは、
  単に同クラスであったためでなく、 当時から
  ある種のセンスに共通点が有ったからだろう。

[出逢いの問題シリーズ]は獄中に逝ったO君追悼の意図で、
  世間に依る人間の評価のいい加減さを書く狙いがあった。
   以下に、その注釈を付け加える。


社会人となってからのOは、当時の
  日本の銀行経営者としては例外的に、
  新しいビジネスモデルに、
  興味を持っていた


2005年の現在では、日本でも常識的となっている、
  諸々の業務活動が、桁外れの非常識に見えた、
  1960 年代、である。 
そして、これも前回書いたように、Oの活動は
   多くの銀行経営者からは、白い目で見られたし、
   大蔵省の官僚が銀行に来て注意を与え帰って行くと、
   毎回彼は、大声で「馬鹿野郎!」、と怒鳴った。
 小倉氏も恐らく同じであったろうと思う。

★一方Y君も、職場では、[出逢いの問題(4)]
  に書いた様な経緯はあったにも拘わらず、
  技術者として幾つかの業績を残した。
  その全ては、所謂改良型の仕事でなく、時代を
  先取るもので、彼が手掛けて20年程すると、
  その分野が賑う、 というタイプのテーマであった。 

当時のソ連及びフランスの専門書に、彼の業績
            が掲載されたし、
高名なソ連科学アカデミーのセミヨーノフ所長が、
   彼の仕事の調査に、使者を派遣してきたりもした。


大学人としての彼は、産学協同を推進し、専門外の事でも、
   彼は安楽死運動等に手を出していたが、
   これ等は何れも、当時は、「トンデモない」、テーマ、であった。
   産学協同は、世間も、文部省も非難し、禁止していた。
安楽死という言葉を嫌う厚生省、が認可しないので、当時は
          「安楽死協会」、は、 法人格を持てず、
   任意団体としての活動しか出来なかった。

 ● 今日になると、日本社会も政府も、産学協同は
       「当然推進すべき事」、 としている。
   安楽死容認の全世界的な潮流のなかで、これを合法とする国や州、
   の存在することは勿論だが、全て文化的には後進的な日本でさえ、
   安楽死の議論はおおっぴらになり、「安楽死協会」の後身である
   「尊厳死協会」は、押しも押されぬ存在、になっている。

 ●約10年ほど前に比べて、現在は日本中の銀行員の数は
   40 %ほど減っている。
   昔は銀行員の給与水準が高かった事、を含めて考えると、
   日本は何という無駄遣いをしてきたのかと思う。
   小倉氏が宅急便を整備する前の日本社会も同様である。

葬送の形態としての「散骨」、と同様の常識の変化、である。
   O君や、小倉氏のような、新しいビジネスモデルを作る人材、
   を評価できない国は、一流国とは言えない。


★[出逢いの問題シリーズ]、をO君追悼の意図で書き始めたとき、
   同時代の人に依る人間の評価の出鱈目さ、を分り易く表現
   する心算で、[出逢いの問題(4)]に、
   コペルニクスやジョルダノ・ブルーノの例を書いた。

   だが今になって思うと、現実のOやY、そして小倉氏の仕事
   の評価は、寧ろ現在のIT時代を作り上げてきたスタンフォード
   ・グループの話を引き合いにしたほうが適切であった。

ターマンを旗手として、ヒューレット・パッカードに始まり、
   スタンフォード産業パークを形成した意欲的な人材群は、
   常識に囚われない人々であったが、

彼等の「先見性」だけでなく、
 「夢」と「遊び心」、に注意しないといけない。
 郷里や祖国では受容れられなかった、
 そうした彼等の能力を活かし切り、
 今日のIT時代を作り上げたのは、
 米国という国の特性であった


リーランド・スタンフォードが居なかったならば、ターマンが
   居なかったならば、現在のインターネットの世界は存在しなかった
   だろうと言われるが、 更に言うならば、
   米国という特別に懐の深い国が無かったならば、
   今日のIT文明は無かった。

「イットに金を出せ」、なんてレベルの総理大臣の居る国、
   Oを獄死させてしまう様な国では、
   IT文明は花開かなかったことは間違いない。


★OもYも、学校の同級生の中では、評判は悪い。
   それは、群鶏中の一鶴(メダカの多い池の中では鯉は少数派)
   だから当然である。
   この様なレベルの話でなく、大海の中でも、千年の歴史の中でも、
   風説の正確さは疑問が多い:[出逢いの問題(3)社会環境の運]。

 ●「坂の上の雲」を読んでいると、司馬遼太郎が、事実関係に
   誤りの無い事に如何に留意し、調査して、これを書いたかが
   良く感じ取れるのだが、更に「あとがき」には、
   その苦心が明確に記述されている。

それ程にしても尚且つ、作品の最後に(あとがきの更に後ろに)
   「首山保と落合」、という一節を付して、遼陽作戦のミスの
   責任者を落合少将とした、のが誤りであったことを、
   数頁に亘って説明している。

更に、この様な慎重さと誠実さを以ってしても、尚且つ、
   Alpsさんの指摘するように、司馬氏は乃木将軍の評価を
   誤っている。 ( 日本海海戦100周年 のコメント)


 ●山本周五郎の「樅の木は残った」を読むと、伊達騒動の
   悪の張本人とされて来た原田甲斐が、
   実は「名」さえも捨てた大忠臣だったという。
   金も要らぬ、地位も要らぬ、までは、在る話だが,
   「歴史に悪名を残しても」、という仕事ぶりの凄さには圧倒される。

その様な人物に就いては、歴史家の評価でも、
   人間の値踏みは出来ない。
すると人間の評価、業績の判定、と言うものは人間には出来ない。

 ●乃木希助、原田甲斐のように、人を相手とせず、
   神仏の前で愧じない人生、を歩むべきなのであろう。
   そして同時に、世間で語られる人物評価というものは、
   自分の眼で確認しない内は、 信じないことにしたい。
    これも、大変に難しい事では有るが。

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