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性悪説論者の弁(2) ★先ず、一つの歴史的事実の話から出発する。 養老孟司氏やY君のように大学紛争の時代に若手として大学の現場に居た人達が、現在でも当時の全共闘の連中を許していない ことを、以前に書いた(「出逢いの問題(4)社会環境の運(続)」 )。 1940年代に日本が米国と戦った事を知らない人は多いという(歴史認識(2))が、 その30年後の1970年頃に大学紛争という出来事があったことならば、可也多くの人が憶えているだろう。 そして、更にその30年後の現在、多くの人々は、養老氏らの執念深さに辟易して、「もう、いいじゃないか」と思うだろう。 ここに今回の問題(「耐震強度偽装問題」)の本質が有る、 と私は思うのである。 普通の日本人の、養老氏やY君に対する受け止め方は、南京大虐殺事件の話を中国が持出すとうんざりして、またか、と思うのと同根である。 良かれ悪しかれ、淡白で「執念深さの無い国民性」がその根源である。 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★湯川博士が言っていた様に、科学者の最も重要な資質は「執念深さ」であり、 国民性としてそれの欠如した日本は自然科学を生み出さなかった。 現代文明の基幹である科学技術を産んだのは、 アラブであり、 欧米キリスト教国であった。 その国民性の故に、 「戦争を起こした人間も、死ねば皆、仏様」、にする首相、 「たった10人かそこらの人間が連れ去られたからと言って、国家間の関係を損なって良いか」、と考える高級官僚、 の支配する日本は、 中国から見ても、米国から見ても、異質であろう。 ただ、米国は友好関係を損ない度くないから、靖国問題には今までは、発言を控えて堪えてきた。 が、2005年の暮れも押し迫った時期になって、これ以上アジアがごた付くのを、我慢しきれず、日本に反省を求めた。 もう大抵にして貰わないと、米国もアジア諸国との関係で困るので、遂に発言したのだろう。 拉致被害者家族に対する同情が、日本政府よりも米国政府の方が強いというが、拉致問題に対する日米政府の態度の差も、彼等はそれが正当だと思うことに由来する。 これもまた、同根である。 多神教の民族では「他人の痛みは60日でも堪える」し、一神教の民族では「目には目を」、となる必然性が有るのだろうか。 或いはピアニストが言うように、日本は世界の国々の中には、かなり特殊な国なのだろうか( 国連常任理事国を目指す前に)。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ★執念深さの話から、本題に戻る。 Y君は個人的な気持ちとして、日本に於ける大学紛争発端の東大医学部の問題が生じた時には、学生に同調的であった。 しかし、それは次第に変わって行った。 紛争が全国的規模に展開していく過程で運動が変質し、 Y君の大学に波及した頃には、運動は全く政治的なものになっていた。 「大学紛争」は、自分の大学に現存する問題を改革するのではなくて、毛沢東思想を日本に広める事が目的の政治運動化していたので、Y君の大学ではまともな学生は殆ど運動に反対していた。 運動参加者は、平素の大学生活では全く出番の無い、劣等生ばかりであった(★プライオリテイの尊重)。 丁度学年末試験の時期であり、卒業年次の学生の多くは、そこで単位を取得するかどうかで、卒業出来るか一年留年するかが決まるため、 政治運動よりも自分の卒業資格を確保しようとしたのは、自然の成行きであった。 全共闘の学生の中には、大学紛争の名目で他学科の期末試験を妨害し粉砕したが、 自分は期末試験を受けていて、 「自分の出来る範囲で、社会を正す運動をしている」、と言った者も多く居た。 ★所が新聞は、紛争発端の東大医学部の問題の次元でしか、記事を書かなかった。 毎日を自分の大学で紛争に対処する以外の仕事は、何一つ出来ない日々を過ごす内に、 Y君も気持ちが変わって行った。(「続続・定年制」) ************************************************************ 現場の状況は違うと伝え、正確な報道をして貰うべく、 彼は一読者として新聞社に電話をした。 電話を受けた新聞社の人間は、彼の話を中途までしか聞かずに、「貴様,右翼か」と大声で怒鳴って、ガチャリと電話を切った。 Y君は祖父の代から続けてきた朝日新聞の購読を止めた( 広島原爆60周年(3) )。 翌年になって、浅間山荘事件が起ると、新聞の論調は一変した。 先月まで「純真な学生」と記述してきた同一の若者を、「暴力学生」と表現するようになった。 マスコミ人種に取って、この種の変化は極めて容易である。 変身は一日で出来る。 マスコミとはそうしたものである。( 「トラと評論家」) 火事は大きいほど、見ていて面白いものである。 留年の決まっている、出来の悪い学生が良い口実を得て騒いでいる、と書くよりも、 純真な学生が正義のために、棒切れを持って教授をぶん殴っている、の方が記事としては面白い。 マスコミとは、「真実を」伝えるものではなくて、「面白く」伝えるものなのである。 こういう体験をして来ているから、キャズ氏は[★ 「耐震強度偽装問題」]、のような事を書くのだ。 バブルの時代に、「経営者は会社に利益を齎すのが仕事だから、今の時代には自動車メーカーの社長でも、自動車を作るよりも北海道の土地を購入して、会社の利益を上げる事を考えるのが、経営者の責任である」 と、テレビでしたり顔で主張していた評論家Tは、 バブルが弾けると金融機関批判に転じた。 現在でもテレビで喋っているが、 昔その様な主張をして申訳有りませんでした、と一言でも謝ったのを、聞いた事が無い。 こんな奴を評論家と評価して、置いておくのが、日本のマスコミである([ 福知山線・列車事故の原因A ]) 。 評論家Tに煽られて、自動車生産を止めて、北海道に金を注ぎ込んだ、自動車メーカーはなかった。 銀行・証券などの金融関係は、不見識にもバブルで大火傷をした。 けれど、政府がその火傷の手当てをしたから、回復した。 ************************************************************ しかし、養老孟司氏やY君のように、大学紛争の時代に若手として、 たった一度の人生の最も働き盛りを無駄にした人は、 その時間を取り返しは出来ないのである。 人生の預金通帳に50年と言う時間が入っていて、何時でも使えるのではなくて、 3歳の時は3歳、20歳の時には20歳でなければ、出来ないことがある。 取り返しの付かないその時期を、政府も、マスコミも償う事は出来ない。 という以前に、 償わねばならない、との気持ちも無い。 養老孟司氏やY君には私としても、 無言館に作品を残した若者よりは未だしも、幸せだと思いなさい、 と言う以外に慰めの言葉も無い。 ★マスコミが誠実に報道しなかったから、 冒頭に書いたように、世間一般の日本人は、大学紛争の実態を、知らずに過ぎてしまった。 その為に、その時期に大学の現場に居た養老氏たちの話を、「またか」、と感じるのだ。 南京虐殺事件の話を、中国が持ち出すとうんざりして、またか、と思う現在の日本人と同様である。 ★「歴史認識(2)」、 ★ 「歴史認識(1)」、 にピアニストが書いているように、 人間というものは、 というよりも日本人というものはそうしたものである。 民族の歴史を学ぶという意味で、 イスラエルの若者達が、一度はマサダの砦に登るのを義務付けられているのと同様に、 日本の若者も成人する前に一度は無言館に訪れる事、を義務付けると良いと思う。 ************************************************************ 参考: ★[B-24] [2005/12/29]:性悪説論者の弁(1) ★[B-26]: 性悪説論者の弁(3) ★[B-51]:性悪説論者の弁(4) |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
耐震強度偽装問題(続)
前の記事「★[耐震強度偽装問題」に書き、 私が主張したことの練習問題の様な出来事が、新聞に報じられた。 ...続きを見る |
変人キャズ 2006/01/11 06:27 |
紛争学生と、テロリストの正体
★キャズ君の記事{仲間の出合った人達:(3) ホロニャック:[C-126]}の最後の部分、 [往年の名画、「会議は踊る」で、ロシア皇帝と恋に堕ちた少女が、「唯一度の」、を謳う場面の話]、 を読んで、連想する事があった。 それは、以前に書いた記事:{性悪説論者の弁(2):[B-25]、或いは、(出逢いの問題(4)社会環境の運(続):[B-12]}:の話である。 ...続きを見る |
佐久間象川 2006/07/21 22:04 |
感度のある人(2)・悪党
一万円札と間違えて五千円札を出す人間は、『感度の鈍い人』、であるが、 お釣を稼ぐ目的で分かっていて五千円札を出す人間は、『悪党』、である。 ...続きを見る |
変人キャズ 2006/07/30 15:39 |
感度の有無(7):小泉内閣
★多くのブログ記事は、極く最近の諸問題をテーマに扱い、政治、経済、芸能、何でも、2週間もすると話題が移る。 安倍内閣が発足し、施政方針の国会審議も始まった今、前内閣の実績の評価などは関心を持たれなくなる。 我々の仲間の記事は、 30年前の文章をそのまま持ってきて再掲載したりして、全くナウくない。 それは、我々が老人であるが故ではない。 ...続きを見る |
変人キャズ 2006/10/08 07:22 |
性悪説論者の弁(1)
性善説と性悪説の衝突の歴史は長い。 此処で、何故、この様な話題を展開し始めたかというと、キャズ君の記事「★耐震強度偽装問題」に、私が不満だからである。 長くなるから、本論は、次回に陳べることにして、今回はその前提となる話をする。 ...続きを見る |
佐久間象川 2007/10/23 01:50 |
性悪論者の弁(6)
毎日新聞に2008/3/21から3/30までの連載で、「正義のかたち」、という題の、裁判官の告白を紹介しながら、裁判に於ける量刑の公正さ、妥当さを考える記事があった。 “裁判員制度”の発足を一年後にして、“人を裁く”意味を考える、という趣旨の欄である。 ...続きを見る |
佐久間象川 2008/04/01 18:08 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
R会という会があった。各業種から選ばれ、会長が承認する人で構成されていた。一業種からは2名までというのが原則だった。月に一度の定例会があって、会長が委嘱する講師を呼んで話を聞き、其の後それを元に討論すると言う仕組みだった。 |
Alps 2006/01/07 22:14 |
他人の試験を妨害し |
イプサム 2006/06/22 22:48 |
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